＃11❝確かな情報❞

＃11　“確かな情報”

　幕末から明治維新といわれた時代に尊王攘夷という実態のない思想がどこからか風に吹かれてやってきて、日本の国を変革しようと倒幕をうたっていた薩摩や長州の若き志士たちにまるで流行風邪のように蔓延していった時代を考えると、今の時代もまさに実態のない噂話が社会を横行している、そのような不確実な社会が出来上がらないようにするには、病根を抜き取らなければだめだと思う。

　健全な世の中にするには、堅実な正直な嘘のない世論が打ち立てられなければだめなのではないだろうか、世間の風評、SNSの根拠のない情報に右往左往する人々、詰まるところ知力、見識が乏しい人間が多くなれば国の衰退に繋がっていく、如実知見という言葉がありますが、真実を見抜く力をお互いが養っていかないとどんどん社会が乱れていきます。一人ひとりに確かな哲学が必要な時代になってきているとつくづく感じます。情報時代になって人間が深く物事を考えなくなって、深く知ろうとしなくなっている。そういった環境に埋没して薄っぺらい情報に満足してしまっている。自分の中で知識としての情報を知恵に変えていく努力を怠っていき、次第に自分の中の知力、人間力が落ちていることにも気が付かなくなっている。

　この時代そしてこれからの時代、どのようになっていくか想像がつくようでつかない。 人間が人間らしく暮らせる社会、お互いを大切に感じられる社会、お互いの差異を乗り越えて理解しあえる社会、何よりも争いのない平和を愛せる社会を作り上げていってほしいと熱望します。

建築家　川嶌 守