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#04❝蝉になった男❞

#04 “蝉になった男”

 

「セミになった男の話」どこかにありそうな本のタイトルだが、蝉のうだるような鳴き声を聞きながら、彼らは7年くらい土の中で暮らしてその後地上に出て7日くらい一生懸命泣き散らして死んでいく、そんな男の話を妄想してみようと思ったが、中々蝉のような男が浮かんでこない、男のイメージとしては、打ち上げ花火のような人生を送っている一攫千金を狙っているそんな山師的な男であったり、長い下積みの末大輪を咲かせるそんな男もいいかなと思ったりしているのだが、このようなストーリーはどうしてもサクセスストーリーになってしまうので面白くない。どんな妄想が続くのか、取り敢えず妄想から離れます。

日本は戦後高度経済をしていく中で少しでも安く供給するために様々なものを輸入に頼ってきた、木材もアメリカ、カナダ、ロシアからの輸入材に国内の需要の7割くらいを頼ってきた結果需給率が随分減ってきていた。最近建築業界を震撼させているウッドショックもまさに輸入に頼ってきた結果です。日本は安ければよいという市場優先の社会になってきたが、去年あたりからアメリカの金融経済の金利の上昇から起こってきた物価高が日本においてもその波はやってきた、しかし日本はこの30年近く目先の経済優先から賃金をあまり上げてこなかった為、様々な問題が時間を経て起きてきている、その一つには労働時間の問題、ここにきて急激な物価の高騰になり、大企業が政府からの要請もあり渋々賃金アップに踏み切った、続いて中小企業も一部であるが賃金アップをし始めている。その背景には労働力不足もあり賃金を上げないと人材が確保できない状況も生んでいる。日本以外の国は物価上昇に比例して賃金を上げてきているが、日本は物価を抑えることによって、賃金も抑えてきた、見方を変えると歪んだ経済を作ってきたといっても言い過ぎではないと思う。バブル崩壊後の30年を失われた30年と言われ続けていたが、歪んだ経済をつくってきたいい訳だったんじゃないかと思っても不思議ではない。物が安いということが、物の付加価値を上げないことが、この国ではいつの間にか豊かであると思われてきた、言ってみれば洗脳されてきた、本当の豊かさとはある程度賃金は上げながら、物の付加価値を高める努力をしていく中で生まれてくるものだと思うし、日本の国は今こそ、大きくチェンジする絶好の機会だと思います。

建築家 川嶌 守

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